近所のオープンチラシだったのだが…

オープンチラシに目がない私だが、今回のチラシにだけは反応できなかった。
ケーキ屋さんの開店告知のチラシ、三日後に開店が迫っていた。

自宅のすぐ近くだし、甘いものも嫌いではない。先着50名には特製ラスクをプレゼントとも書いてある。本来なら飛んでいくし、先着とか、限定とか言われれば、早朝から並ぶことも辞さないのだが…。
そう、今回だけはどうしても反応できなかったのだ。それは、その店のオーナーを知っていたからだ。それも、過去にあまりいい関係になかった人であり、その人がその店を経営しているのがわかったからだ。

その人とは同じ同人会に属していたのだが、ちょっとしたことが原因で対立してしまったのだ。本当のことを言うと、いったい何が本当の原因だったのかさえよくは覚えていないくらいなのだが…。
妻は「あら、あなたにしては珍しいわね、いつもはケーキ屋さんの開店には真っ先に反応するのに」と事情がわからないために不思議がっていた。

そして、いよいよ開店前日になった。私は車で仕事の途中そのケーキ屋の前を通ることが何度かあったが、もうすでに準備は整っているようで、店の従業員が見せの前でチラシを配っているのが見えた。
後は明日、お祝いの花輪が届けばすぐさま開店といったところだろう。その日、家にいろいろな手紙に混じって、一通のカラフルな封筒が届いていた。

それはそのケーキ屋の開店案内だった。私と拗れた関係になっていた彼が直筆で、「お近くに店を出させていただきました。過去にはいろいろと行き違いがありましたが、また新たにご近所付き合いをさせていただければ幸いです」彼の方が私より数段オトナだったというわけだ。

当然、初日に出かけていった。特製ラスクの引換券つきの招待状が入っていなかったとしても、私は店に行ったことだろう。